子供のときに偉人伝を読んだ。偉人伝にはいろんな偉人が登場する。その誰もが、偉業を成し遂げた偉い人だ。偉人なんだからあたりまえだ。
偉人伝には、偉人しかいない。
しかし、みんなも知っているように一般に偉人と呼ばれる人は、偉業を成し遂げたというだけであって、必ずしも人間的に立派だったというわけではない。
相対性理論のアインシュタインは、ただ物理学がモーレツに好きだったから相対性理論を発見したという。趣味の物理学に没頭しすぎて、他のことはなんでもかんでもないがしろだったという。
我輩は猫であるの夏目漱石も、人間的には色々と乱調気味の人間だったことがよく知られている。
谷口ジローの本に、この辺は詳しい。
偉人伝は、その辺を描かずに偉人のきれいな部分だけを描いている。これでは何の意味もない。
偉人伝以外にも、たとえば企業のトップとか成功者の半生を振り返るような本があったりする。ためになるからと読んでいる人もいるだろう。
しかし人間的に立派な、情け深く慈愛にあふれた人が、この生き馬の目を抜いたり抜かなかったりするようなこの現代社会で成功できるだろうか。
本当にためになるのは、失敗した人の話ではないか。
偉人じゃないけど、成功者じゃないけど、でも立派な人。そんな人の物語が読める本が欲しい。そんな本を子供に読んで欲しいと思うのは中野だけだろうか。我が子には競争社会で勝ち抜ける、友を蹴落とす力を持った人物に育って欲しいと思う人ばかりだろうか。
小説などの虚構ではよく見られるけど、実在の人物で、歴史上の人物で、何も成功しなかったけど人間的に立派な人物の読み物ってあるのだろうか。歴史上に、そんな有名人はいるのだろうか。
偉人伝は役に立たない。上手くいった奴の話なんか見たくも無い!ふざけるな!どうせたまたま成功しただけじゃないか!!自慢するな!