ちょっと古いエスカレーターをじっと見てると、たまに一段だけ塗装されたものを見るときがある。エスカレーター全体の中で一段だけ、なんだかわからないけど青や赤にべったりと塗られたエスカレーター。あの塗られた段がなんだかわかるだろうか。
アレは実は、エスカレーターの設置された回数を表しているのだ。
あまり知られていないことだが、エスカレーターの多くは2回の人生を送る。2回というよりも、2ヶ所といったほうがいいだろうか。
東京と大阪で、エスカレーターの立つ場所が違うのは良く知られている。東京だとみんな左側に立ち、大阪だと右に立つ。急ぐ人のための道を開けるためだ。まあエスカレーターを歩くことの是非はともかく。
多くの人が片側に偏って立つために、当然エスカレーター本体の磨耗も同じように偏る。東京で稼動していたエスカレーターは左のほうが磨耗し、大阪の場合は右が磨耗する。
そこを解決するために、多くの場合エスカレーターは一定の期間で関東と関西を移動する。磨耗で寿命が早くなることよりも移転させて工事をしたほうがずっと経済的なのだ。
その移送を済ませたエスカレーターの目印として、足場のうちのひとつに色をつけるのだそうだ。なるほど、だから一段だけ色が着いたエスカレーターがたまにあるわけか。
ちなみに最近のエスカレーターは、足場そのものを反転させて設置させられるように作られているそうで、この移送が必要ないそうだ。
あまり気にしたことはないけど、エスカレーターなんて安全性には気を使わないと非常に危険なものだ。エスカレーター業界のたゆまぬ努力が、文字通り我々の足元を守っているのだと思うと、エスカレーターに乗るたびに感謝の気持ちがわいてくるというものだ。