中野の鼻
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おっちゃんトレーニング
子供の頃、漠然と考えていたことがある。
「おっちゃんはいつからおっちゃんになるんだろう」
ここで言うおっちゃんというのは別に親戚のおっちゃんや近所のおっちゃんといった特定のおっちゃんではない。中年以降の男性全般の呼び名だ。
子供の頃、同年代の友人などいなかった中野の周りは大人ばかりだった。そしてそんな大人、特に男性はみんなおっちゃんだった。
「おっちゃんがお菓子買うたろか」
「おっちゃんの車で連れてったるわ」
みんな自分のことをおっちゃんと呼ぶ。
そして中野も30歳を過ぎた。人生も半ばあたりといったところだ。いい加減おっちゃんである。
以前豊島園プールで子供と話したときに、自分でも気が付かないほど自然に自分のことをおっちゃんといっていたことがあるほどのおっちゃんだ。
よりしっかりとおっちゃんになるために、おっちゃんであることのトレーニングが必要かもしれない。
新人おっちゃん中野だ。
しかし世のおっちゃんたちはどんなトレーニングを積んで立派なおっちゃんになったのかわからない。
とりあえず、若者と話していて、何かとても最新の技術や流行の話が出たときには、すかさずこう言う様にしている。
「そんな難しい話、おっちゃんにはわからんわー」
「おっちゃんの頃にはそんなもんなかったわー」
コンピュータ関係の話題や、ゲームや携帯といった最新の機械の話には、とりあえずこれを言う。実際にはコンピュータはともかくゲームや携帯には中野も人並みくらいの知識はある。でもおっちゃんトレーニングだから仕方ない。
もっと言えば、おそらく中野がもっと子供だったときに周りで「おっちゃんにはわからんわー」と言っていた人たちも、実際は解っていたのではないだろうか。しかし若者に華を持たせる意味でも、わからないおっちゃんを演じていたのではないだろうか。
おそらく、こうやって自分がおっちゃんであることを知り、正しくおっちゃんになる道をまっすぐに歩めば、きっと誰からも認められる立派なおっちゃんになれるに違いあるまい。
他にも効率の良いトレーニングを見つけて、一流のおっちゃんを目指そう。それが自分のためであり、もっと言えば正しくおっちゃんがいる世の中を作り若者が安心して暮らせる社会のためである。
もしかしたら違うかもしれないけど、ちょっとそんなややこしいことはおっちゃんにはわからへんわー。