アニメ銀魂の主題歌だかなんだかに使われている
曇天という曲のアーティストはDOESというらしい。当然のように中野もDOESを「どエス」と読んだ。なんというベタネタ。根腐軸盆に何かされそうだ。
この曇天という曲はすごい。最初は普通の曲だと思ったんだけど、なんどか繰り返して聞いているとえらいことに気がついた。この曲の歌詞は、空が曇っているということ以外何も歌っていない。
歌詞が気になる人は
この辺で歌詞を読んでください。携帯の人はなんか検索とかして。
歌詞の主人公はとある男性だ。その男性はただ曇っている日に歩いているだけ。どうやら都会の街を歩いているらしいけど、それがどこなのかは語られない。途中で喫茶店に入る。
歌詞の中に女性が出てくるのだが、その女性が主人公とどういう関係なのかもわからない。どうやら一緒に歩くような仲らしいのだが、恋愛関係なのか友人なのか血縁者なのかもわからない。
ただ二人はふらふら一緒に歩いて、雨が降ったらどうしようとぼんやり雲を眺めたりしているのだ。
「空が曇っている」
その一点のみで歌を作って、そしてオリコン何位だかに入ってしまう。並大抵のことではないな。
これは紛れも無く「詩」だ。歌詞の「詞」でもあるけど、それ以上に「詩」を感じてしまった。つい一月ほど前に「
詩ってなんなのよ」と言った舌の根も乾かぬうちに、中野は詩を体感した。
中野の好きな尾崎放哉は種田山頭火と並び自由律俳句の代表的な人物だ。尾崎の句はどれも、見たままを見たままにあらわしていることが非常に美しい。
爪切つたゆびが十本ある
せきをしてもひとり
墓のうらに廻る
愛だの恋だのとやかましく歌いがちな最近の音楽において、ただ天気がよくないことを歌っただけの曲をヒットさせたDOESに、中野は尾崎を見た。この曲ひとつでDOESのほかの曲も聞いてみようかな、という気にさせられるほどである。
これだけ書いておいてなんだけど、別にこの曇天って曲が好きなわけではないよ。