中野の鼻

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ためしがき

 絵が描けない人の絵というものは、なかなか見る事が出来ない。なぜなら絵が描けない人は絵を描かないからだ。自転車に乗れない人が自転車に乗らないのと同じことだ。
 少しでも絵をかじった事がある人間ならわかるコトだが、絵が描けない人が描いた絵と言うのは、ものすごいモノだ。セオリー無視のその描線には、いつもあこがれてしまう。

 そんな、絵が描けない人の描いた絵がたくさん見れる場所を見つけてしまった。
  
 筆記用具売り場のためしがきの紙だ。

 すごいウサギとパンダだ。特にパンダの目が完全に彼岸だ。どこを見ているのかまったくわからない。左右の目で見ている高さが違う。
 そして、たぶんミッキーマウスを描こうとしていて諦めたと思われる絵がある。かなりミッキーだ。このまま完成していたら良いうろ覚えになっていたに違いあるまい。未完成で終わってしまった事が心から悔やまれる。
 真ん中の写真に書かれた車。描いてからどっちが前かわからなかったから、排気ガスの記号をつけて進行方向を表したのだろうか。とにかく、車だと言う事はわかる。
 それを見かねてか、やけに力作の車が描かれている。なんと車種まで判別できる。コレはベンツだ。ベンツがすごい勢いで走っている。って言うか何でこんなにも「東」っていっぱい書いてるんだ。

 これらの絵は、きっと描けない人が描いてしまったものだろう。たぶん大人だ。

 ためしがきという刹那の世界でのみ発表されるアウトサイダー・アートだ。生の芸術だ。アールブリュットだ。この中から次のヘンリー・ダーガーが生まれるのかもしれない。

 自覚なき芸術家達が自覚なく作品を産み出し、店員によって捨てられていくのだ。なんともったいない。今や膠着気味とも言える芸術界に革命をもたらすのは、ためしがきだ。

 描けない人よ!立ち上がれ!そしてためしがけ!


[鼻文章] Posted by 中野 at 2004-09-27 22:39:33

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